きらんのShooting Voice!!

ちょっと胸おどる素敵なこと なにかあるたび書きとめておくの。

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会と光の速さで駆け抜けたこれまでの季節はどうでしたか?

こんにちは。きらんです。

此度の記事では、ハルさん主催の虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会6th Live!応援企画「#愛を伝えて生きよう」に寄せて、私なりにコトバを綴っていこうと思います。素敵な企画の主催、ありがとうございます!

今回ピックアップさせていただくのはこのライブで私が一番聴くのを楽しみにしている楽曲である「Wawawa☆What's up!」。この記事では、自分が考えるこの楽曲の素敵ポイントをお伝えできたらなと考えています。

それでは、よろしければ最後までお付き合いよろしくお願いいたします。

中須かすみさん推しとして。

突飛な考え方ではありますが、私はこの楽曲を中須かすみさん、ないしは彼女の考え方を受け取ったうえで「あなた(高咲侑さん)」が作詞したものであると考えています。

根拠としては、楽曲冒頭の「It's a Wonderland」という言葉です。これまで虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会を追いかけてきた面々であれば、中須かすみさんにとって「ワンダーランド」という概念が大切なものであることはある程度承知されていることでしょう。

中須かすみさんにとっての「ワンダーランド」は、彼女のソロ曲「☆ワンダーランド☆」にてこのように定義されています。

ハッピーとスマイルでいっぱいな場所

「☆ワンダーランド☆」より

アニメとしての虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の作品内で「ワンダーランド」という概念が提起されたのは、1期2話「Cutest☆ガール」です。

この話数では、中須かすみさんが同好会を”自分にとっての「ワンダーランド」を叶えられる場所”であると定義し、リスタートを切る様子が描かれました。

いろんなかわいいもかっこいいも一緒にいられる、そんな場所が本当に作れるなら...!

そこは絶対、世界で一番のワンダーランドです!

1期2話「Cutest☆ガール」より

そんな彼女にとっての「ワンダーランド」を、同好会という場所で叶えることができたその先で生まれた楽曲が「Wawawa☆What's up!」なのではないかと思うのです。

改めて歌詞を解剖してみると、彼女にとっての「ワンダーランド」を構成する「ハッピー」と「スマイル」の両方が現れていることが分かります。

「キミがいて(Hey!)幸せだ(Hey!)」

どれから伝えようか

Wawawa☆ What's up!」より

君一番の笑顔で All right! We go!

響くよLet's go

Wawawa☆ What's up!」より

この楽曲には「ニョキニョキと」などといった独特なフレーズがたびたび現れますが、それも中須かすみさん由来の成分であると考えれば納得がいきそうです。

不都合はないでしょニョキニョキと

ドコだって始まったらV&R

Wawawa☆ What's up!」より

とはいえ、この楽曲の作詞に中須かすみさんの考え方が関係しているということに対する決定的な根拠は提供できません。所詮「It's a Wonderland」から広げた妄想の域を出ないでしょう。

それでも、こうやって間接的に彼女の望む世界が同好会に実現できた事実を、この作品のひとつの到達点であるOVAの挿入歌という形で伝えてくれたことを、一人の中須かすみさん推しとして嬉しく思わずにはいられないのです。

消えない想いがここにある

私がこの楽曲で一番好きなのはなんといっても歌詞です。

一見おちゃらけた雰囲気のあるこの楽曲のフレーズたちですが、ところどころに素敵なメッセージが散りばめられており、涙を誘われます。

この項では、個人的に好きな歌詞をピックアップして紹介してまいりたいと思います。

(Let's say)Hello!

そう出会えたのが奇跡なら

不可能はないでしょエモエモで

いつだって集まったら♡&V

Wawawa☆ What's up!」より

まずはこのフレーズ。

「出会い(出逢い)は奇跡」という虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の考え方は、First Live!のひとつのテーマソングである「Love U my friends」に通ずるものが感じられます。

出逢えた奇跡は 何より宝物

「Love U my Friends」より

First Live!をリアルタイムで目撃すること自体は叶わなかったものの、その直前期に虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会ラブライブ!との出逢いを果たし、ここまで全霊で追いかけてきた身としては、このフレーズは6th Live!まで駆け抜けてきた彼女らの奇跡の軌跡を思い出させるものとなっています。

また、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の魅力のひとつとして、我々の生き写しである「あなた」という存在がメンバーの一人としてそこに在籍している、といった特異性が挙げられます。

よって、楽曲内における「キミ(君)」へのメッセージを文脈的違和感なく「自分宛のもの」として受け取ることが可能です。このフレーズにおける”出会えた奇跡”は、私たちが虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会に感じるのと同時に、同好会のメンバーもまた「あなた」である私たちに感じてくれているのです。

「出会えた奇跡」を感じさせてくれる楽曲はどのラブライブ!シリーズにもありますし、そのすべてが大好きではあるのですが、やはり虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の放つそれは他のシリーズにはない重みを醸し出しているかのように思います。

空はいつもあるから

どこででも笑っててね

Wawawa☆ What's up!」より

次にこのフレーズです。

このフレーズを届けたかった相手として最も似つかわしいのはイギリスへ短期留学をしていた歩夢さんでしょう。

しばらくの間は会うことができないけど、同好会とのつながりは消えないから、広い空でひとつにつながっているから、だから笑顔でいてほしい。そんな思いが込められた一節なのではないかと想像します。

でも、前述の通り、この歌詞の宛先は必然的に「あなた」である我々にも向いてくるわけなんですよね。それを踏まえて歌詞を読むと「空はいつもあるから」という歌詞のなんと素敵な事か。

空は誰の傍にも平等にあるものです。浮かれたあなたのもとにも、悩んでいるあなたのもとにも、幸せなあなたのもとにも、病めるあなたのもとにも。いつでも見上げれば空があって、私たちを見守ってくれている。

この楽曲は、そんなすべてのあなたを見つめて、笑顔でいることを願ってくれます。

アニメ2期13話にて、彼女らはこう言い放ちました。

上手くいかないこともいっぱいあるかもしれないけど、そのときは私たちがいるから!

元気が欲しいときは、会いに来て!

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会2期13話「響け!ときめき──。」

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は、ずっとあなたと一緒にいるよ!

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会2期13話「響け!ときめき──。」

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は、きっといまこの瞬間も、この空を通じて一緒にいてくれている。この歌詞は、いつも落ち込む私にこのコトバたちを想い出させ、笑顔でいさせてくれる大切なフレーズです。

いつだって、虹は雨上がりの空に咲くものです。

キラメく時は 光の速さ

わかってるよ

君とだから(そうだ!)

描ける世界があるコト

僕は忘れてない キミもそうでしょ?

Wawawa☆ What's up!」より

最後にこのフレーズです。

キラメく時は、光の速さ。本当にそうだと思います。

いつだって楽しい時間はあっという間。同好会一同にとっても、アニメ作品内で描かれた一年間は最高に輝いていて、刹那だと錯覚するような季節だったことでしょう。

でも彼女らは忘れていません。君とだから描ける世界があったコト。みんなで一緒に虹の咲く場所をつくれたあの季節のコト。

この歌詞の美しさの根源は「光の速さ」を「忘れていない」ことの本質的な不適合にあると思っています。

光の速さは秒速で292,792.458キロメートルと言われています。ざっくり説明すると、1秒で地球を7.5周する速さです。

もし光の速さで動く乗り物が開発されたとして、そしてあなたがそれに乗って地球7.5周ツアーを行ったとして、終わったあとその想い出を語ることができますか?不可能に決まってますよね。視覚情報の暴力すぎて何も思い出せないはずです。

でも、同好会の面々は、光の速さで見てきたことすべてを心に刻んできたのです。1秒に地球を7.5周するかのようなスピード感で受け取った「君と描いてきた世界」の全てが、輝いていて忘れられないくらいに素敵だったと言っているのです。

Cメロの最後では、「君もそうでしょ?」なんて語りかけてくるこのフレーズ。あなたにとって、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会と光の速さで駆け抜けたこれまでの季節はどうでしたか?

答えは聞くまでもありませんね。せっかくなら、示し合わせはこの楽曲が6th Live!で披露される時まで取っておくことといたしましょうか!

雨がいつやむのかはわからないけど

こんにちは。きらんです。

今週末はついに蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの1stライブ東京公演。夢を追いかける期間と蓮ノ空の動き出しが重なってしまったこともあり、今回が初参戦。気合は十分です。

というわけで、今回の記事では現状蓮ノ空関連の楽曲の中で一番刺さっている楽曲について記し、来たる蓮ちゃん初現地に向けての機運をつくってまいりたいと思います。

その楽曲は「Yup! Yup! Yup!」。よろしければ、最後までお付き合いよろしくお願いいたします。

雨の降る街

蓮ノ空を知る前に訪れた金沢、雨の金沢城跡。

シトシトと雨が降る

この街の真ん中で

そうしたら ねぇ もっともっと

輝けるのかな

「Yup! Yup! Yup!」より

この楽曲の舞台は雨が降る街。金沢は雨の多い街ということもあり、舞台を考えても彼女らに似つかわしい情景になっているように思います。

また「雨」はマイナスな感情の情景描写に多用されます。歌詞の中にある主人公の心の内を見るにも、明るい曲調ながらマイナススタートの楽曲であると言えそうです。

そして、そんな彼女が抱える「不安」に対する考え方の変化がこの楽曲の最大の魅力であるように思っています。

「不安」の定義

今なら意味がわかるよ

不安は本気だからこその反動

I wanna, I wanna, I wanna, I wanna

欲張りだけど 全部全部 宝物

「Yup! Yup! Yup!」より

この歌詞では「不安」が「本気」から来るものであると定義されています。

言わずもがな、「本気」は自分の「やりたい」への熱量から来るプラスの感情です。これまで主人公が抱えていた「不安」がここでプラスな感情と結び付けられることで、この歌詞は楽曲の大きな場面転換の役割を果たしています。

「yup」とは「yes」の砕けた言い方で、肯定の意図を示します。「不安」ですらも前向きなものとして肯定し、次につなげていくこの歌詞は、この楽曲の本質であるとすら定義できそうです。

不安が消えなくても

Ah 不安も消えないけど

信じた分だけ Someday

きっと大丈夫。

「Yup! Yup! Yup!」より

先程の歌詞で「不安」が「本気だからこその反動」であると定義されましたが、まだ楽曲の主人公の「不安」は消えていないようです。

これってものすごくリアルな表現だと思うんですよね。抱え込んだ「不安」ってそんな簡単に払拭されるものではないと思うのです。

そのことをあえて「不安」という同フレーズを用いて提唱しているところに、感情の機微の描き方への信頼感がわきます。

じゃあ、「不安」の理由が分かったことに意味なんてなかったのでしょうか?私が思うに、答えは「No」です。

きっとこの主人公は、「不安」の理由を理解したことで、自分の「本気」を信じることができるようになるのではないでしょうか。自分が「本気」で取り組んできたことに意味なんてなかったのではないのか、そう思わせてくる「不安」に打ち勝って前に進んでいく勇気を主人公にもたらすのではないかと思うのです。

「無理」とか「不可能」とか、そんな言葉を「可能」に変えていくのは、いつだって自分を信じる気持ちです。

雨がいつやむのかはわからないけど

光が差し込み

夢は叶い始めていく...

「Yup! Yup! Yup!」より

雨雲レーダーだって100%正確じゃない。雨がいつやむのかなんて、そんなの誰にも分かりません。

でも、ひとつ言えることは、やまない雨はないということです。

ずっと苦しくても、不安にさいなまれていても、いつかはどんな夢だって叶う。突如空がひらけて、光が差し込むかのように。

だから、夢を叶えるために必要なのは、いつか光が差し込むその瞬間まで、自分の「本気」を信じ続けること。どれだけ辛くても、負けずに前を向いて頑張り続けること。

LALALALALA

最高だね 最高 最高だね

LALALALALA

負けないデス 負け 負けないデス!

「Yup! Yup! Yup!」より

雨ニモマケズ、風ニモマケズ。

「Yup! Yup! Yup!」は、楽曲の主人公の、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの面々の、そしてこの楽曲を受け取ったすべての私たちの「夢」を応援してくれる、そんな一曲であると思っています。

2期6話・夏美さん勧誘シーンの面白さを語りたい。

※この文章は「ラブライブ!学会 アニメ・楽曲考察本(第1回学会誌)」に掲載させていただいた文章を記事用にリメイクしたものです。

 

 

 

みなさんオニナッツー。きらんと申します。

 

今回は『ラブライブ!スーパースター‼』2期6話「DEKKAIDOW!」の肝となるシーンである、澁谷かのんさんによる鬼塚夏美さん勧誘シーンを解剖し、その魅力に迫ってまいりたいと思います。

2期6話、めちゃくちゃ好きな話なんですけど、肝心の内容について深く掘り下げた文章を書いたことって思えばそんなになくて。3期が始まる前に自分なりにまとめて書き残しておきたいな、と思い筆をとった次第です。

よろしければお付き合いください。

■シーンの構成

一連のシーンの一番の見どころは間違いなく夏美さんの心情の繊細な変化であり、夏美さんがLiella!への加入を決意する「始まりの瞬間」の輝きなわけです。

そして、そのダイナミックなシーンに説得力を持たせているのは、縁の下の力持ちであるかのんさんの存在にほかありません。かのんさんの行動・言動のひとつひとつを彼女の視点で分析することで、その裏で密かに行われている駆け引きを理解することができ、この話数をより楽しむことができるのではないでしょうか。

この記事では、そんなかのんさんに着目して、各言動を掘り下げ、「なぜ勧誘を行う選択をしたのか」「なぜかのんさんでなければならなかったのか」について自分なりに解釈してまいりたいと思います。そんなわけで、夏美勧誘シーンの範囲と構成を定義させていただくことにいたしましょう。

本稿では、かのんさんが「それより、スクールアイドルやってみない?」というセリフを発するところから、夏美さんが笑顔でかのんさんの手を取るまでを「夏美勧誘シーン」とさせていただきます。

これは、劇伴「夢の予感」が流れているシーンとほぼ一致します。劇伴の知識がある方は、そちらを参考に記事を読み進めていただいても構いません。

「夏美勧誘シーン」は「森のシーン」「ラベンダー畑のシーン」の二つに大きく分けることができるでしょう。また、かのんさんの台詞の目的を踏まえると、「森のシーン」は「勧誘」「拒絶への応答」、「ラベンダー畑のシーン」は「想いの確認」「最後の一押し」の計4つのチャプターに分けることができると考えます。それでは、各チャプターについて解説してまいりましょう。

■森のシーン・勧誘

「それより、スクールアイドルやってみない?」

一連のシーンは、かのんさんによる一言を皮切りに開幕します。このチャプターの前提条件を整理していきましょう。この台詞を誘引するきっかけとなったのは、夏美さんの「夢に破れ続けてそれを諦めてきたバックグラウンド」です。

私は、この前提を踏まえたうえで、夏美さんをスクールアイドルに勧誘する行為には二つの要件が伴うと考えています。

第一に、彼女を勧誘するうえでスクールアイドルという方法を提示するには、彼女がスクールアイドルに一定の関心を抱いていることを理解している必要があります。

第二に、彼女の昏いバックグラウンドを理解したうえでスクールアイドルという新たな夢を押し付けるには、スクールアイドル活動に内在する「叶える力」への強力な信頼が必要です。

まず、かのんさんが夏美さんのスクールアイドルへの一定の関心を理解しているかについて。かのんさんは同話にて、後輩を強く気にかけるような描かれ方をされています。また、その後二期生の練習動画を観て強い安心・喜びを抱くような描写がありました。これを踏まえると、彼女がその後にアップされたであろう二期生の練習動画を積極的にチェックしている可能性は高いとみて取れるでしょう。

一方、夏美さんについて。彼女は、動画の撮影中、そこへ映り込んでスクールアイドルの練習に参加する素振りを見せています。肝なのがしっかりその動画に夏美自身の練習風景も映り込んでいるというところ。その日のオニナッツチャンネルには、自分自身の練習風景を含んだ動画がアップされたことでしょう。

これにより、「①かのんさんがオニナッツチャンネルをチェック→②夏美さんのスクールアイドル活動への参加を把握→③夏美さんがスクールアイドル活動に関心を示していると解釈」という一連の流れが成立しえます。かのんさんは第一の要件を不自然なく満たしていると言えるでしょう。

また、スクールアイドルの「叶える力」への信頼について。アニメ1期では、彼女らの「私を叶える物語」へのスクールアイドル活動の貢献と、「みんなで叶える物語」の萌芽が描かれています。この過程で紡がれたエピソードは、一期生が彼女らの中でスクールアイドルと「夢」を結び付けるのに十分ですよね。

このチャプターについての論点をまとめると、夏美さんの勧誘に至れる条件は、①夏美さんのスクールアイドルへの関心を確認する方法と確認できる精神的前提をもち、②スクールアイドルに内在する「叶える力」を信頼している、という条件を満たした者であり、かのんさんはもれなくこれらを満たすということです。

■森のシーン・拒絶への応答

「私はこれまでたくさんの夢をみてきて何も叶わないって分かったんですの」

かのんさんの勧誘に拒絶を示す夏美さん。直前の寂しげな表情から、かのんさんの勧誘はかなり効いているようですが、夏美さんはそれでも折れません。

その返答はあまりにも強烈すぎる自己卑下でした。きっと多くの人は、この拒絶に対するクリティカルな応答が叶わず、折れてしまうところなのではないでしょうか。

しかし、かのんさんは違いました。彼女もまた、夢が叶わぬ悔しさを身をもって経験してきたから。スクールアイドルが、もう一度夢を見ようとする者の背中を押してくれることを知っていたから。

「でも可可ちゃんやみんなが教えてくれた。みんなとなら、頑張れるよって!」

ついに大きく表情を崩す夏美さん。しかし、その表情は明るいものではありませんでした。いまかのんさんの手を取れば、もしかしたら変われるかもしれない。自分の心のときめくままに、全力で夢を追いかける、そんな「新しい私」に出逢えるかもしれない。

でも、それ以上に彼女の内面を支配するのは、過去のトラウマから来る強烈な不安感。もう一度あの哀惜を、屈辱を味わうこととなる可能性への拒絶反応。

「私なんかが本当にそんな輝かしい夢を掴めるだろうか?」

夢に揺らぐ夏美さんの回答に先んじて、かのんさんは彼女の手を引きます。

「来て!」

さあ、ここからが彼女の腕の見せ所ですよ。

■ラベンダー畑のシーン・想いの確認

彼女らがたどり着いたのは、ほの暗いラベンダー畑。

「私を真似して」

かのんさんが夏美さんに求めたのは、自分が踏んだステップを真似ること。夏美さんは一瞬の戸惑いののち、素直にその指示に従います。

さて、このシーンを受け取った人の中にはこう思った人もいるのではないでしょうか。「この人たち、なんでこんなことしてるんだ?」と。じゃあ逆に質問させていただきます。どうしてこのシーンが成り立っていると思いますか?

このシーンが違和感なく成り立ったのは、夏美さんにかのんさんのステップを概ね真似ることができる実力があったからです。きっと私は、かのんさんに「私を真似して」と言われたところで、即座に真似ることなんて到底できません。この文章を読んでいるみなさんの大半も、きっとそうなのではないかと思うのです。

じゃあどうして夏美さんは真似ることができたのか。想像に容易いですね。他の二期生とともにスクールアイドルの練習に参加して、そのスキルを身につけたからです。

彼女はお遊びで練習に参加していたのではなかったのです。少なくとも、かのんさんの無茶ぶりに即座に対応できるだけの実力を得るに至っていた。

作中から正確に読み取れるわけではありませんが、きっと合宿開始からかのんさんとの邂逅に至るまでの期間なんて一朝一夕です。夏美さんは、そんな短い期間でスクールアイドルの基礎をある程度詰め込んだわけですね。運動が大の苦手なはずの彼女がです。

きっと夏美さんには、他の二期生たちとの練習を通じてスクールアイドル活動への熱量が生まれていたのです。きな子さんたちの抱くスクールアイドル活動への強い想いが、彼女にも伝染していたのです。そして、かのんさんはそれを感じていた。

オニナッツチャンネルにUPされていた動画で気づいたのでしょうか?それとも、実際に彼女と会って話してみてから?

真相は定かではありませんが、きっとこのシーンは夏美さんのスクールアイドル活動への想いの確認のために存在していると思うのです。かのんさんの予感は見事的中、夏美さんのスクールアイドルへの熱量を確信するに至り、ついに勧誘は最終フェーズに突入します。

■ラベンダー畑のシーン・最後の一押し

「そうすると、客席の人たちも心の中で一緒に踊ってくれるの。ステージ全てがひとつになる」

最後にかのんさんが説いたのは、「踊り」によって心を結ぶことの素敵さです。

かのんさんにとって、スクールアイドルで最も重要な要素は「歌」であることが予想されますが、このときのかのんさんは「踊り」を前面に押し出したパンチラインを繰り出しました。

それはきっと、夏美さんのスクールアイドルへの熱量の根源が「他の二期生たちとステップを合わせた」ことにあることを知っているから。「踊り」こそが夏美さんのはじまりのトキメキだから。夏美さんは「ダンシングココナッツ」なのです

ついに夏美さんの中で「夢への希望」が「夢への不安」を上回り、彼女はかのんさんの手を取ります。それを祝福するかの如く、鮮やかなラインが引かれるラベンダー畑。ど真ん中でひときわ輝く色は鬼塚夏美さんの夢の色、オニナッツピンクなのでした。

■まとめ

ここまで、かのんさんの行動に主軸を置き、2期6話における彼女らの心情を掘り下げてみました。

冒頭でもお話させていただいたように、この話数は裏で彼女らの間で行われている駆け引きを理解することでより深く理解し、楽しむことができると思っています。

なんなら、私はスーパースター!!2期のエピソードは総じてこの傾向があると考えます。台詞として表出される内容が全てではない。直接的な言葉と同じくらい、ないしはそれ以上に、彼女らの行動がものを語り、繊細に導線が結ばれている物語なのです。

だからこそ、その中に詰め込まれているメッセージは、実質的な内容は、形式的な尺以上に遥かに質量が大きく、面白い。そんなワンクールに仕上がっているのではないかと思うんですよね。

だからこそ「なぜ?」を感じたときにそこについて掘り下げていくことにより強い意義がある。私はこの作品のそういうところがたまらなく好きです。

ラブライブ!スーパースター!!の劇伴音楽について語りたい。

みなさんこんにちは。きらんです。

突然ですが、皆さん今日は何の日かご存じですか?

 

 

 

 

 

そう!ラブライブ!スーパースター!!2期オリジナルサウンドトラック「Twinkle of the Superstar」発売1周年!!!!!おめでとうございます!!!!!

というわけで、今回の記事ではアニメラブライブ!スーパースター!!の劇伴音楽に関して、私なりに魅力を発信してまいろうと思います。

当方、お恥ずかしながら音楽についての造形はまるでございません。ゆえに、専門知識に基づいた詳細な解説等はできかねます。

それでもなお作品から受け取れる「素敵」ってあって。それをどうにかカタチにしたく執筆しております。

逆に言えば、音楽関連の難しい話は交えずに楽曲の魅力をお届けする記事となりますから、劇伴音楽に敷居の高さを感じている人でもある程度とっつきやすいものに仕上がっていることと思います。

 

劇伴はちょっと興味あるけど、どこから入ればわからない...

 

そんなあなたこそ、この記事を読んで少しでもスーパースター!!の劇伴音楽を好きになっていただけたら嬉しいです。

よろしければ最後までお付き合いよろしくお願いいたします!

①劇伴音楽とは?

劇伴(げきばん、「げきはん」とはあまり言わない)は、映画テレビドラマ演劇アニメ等の視覚作品に合わせて流される音楽であり、転じて音楽ジャンルのひとつ。

Wikipediaより引用。

要するに、劇伴は映像作品で流れる音楽の総称です。挿入歌を含んだものとして定義されますが、今回の記事では主にBGMとして起用される劇伴音楽について取沙汰してまいります。

ラブライブ!スーパースター!!の劇伴音楽は、その多くが「Dreams of the Superstar」「Twinkle of the Superstar」という二つのCDに収録されています(一部他の作品からの流用あり)。よろしければチェックしてみてください。

なお、ラブライブ!スーパースター!!の劇伴音楽の作曲を担当しているのは藤澤慶昌さんラブライブ!無印の劇伴音楽も手掛けていらっっしゃる方です。

②スーパースター!!劇伴音楽の特徴

劇伴音楽と一概に言えど、その作曲者さんや物語の作風によって、作品ごとに異なった特徴が浮かび上がるものです。

そんなわけで、この項ではラブライブ!スーパースター!!の劇伴音楽の特徴を紹介していきたいと思います。

かのんさんのギターが劇伴に!

2人の気持ち」「みんなと一緒に」の二曲においては、かのんさんが劇中で弾いたギターの音源がそのまま劇伴音楽に取り入れられています。

劇伴音楽を聴くことでその劇伴の起用シーンを思い起こすことは劇伴音楽のメジャーな楽しみ方のひとつ。かのんさんによるギターの演奏を伴ったこれらの楽曲は、この楽しみ方を実践するうえで、特に優れた没入感を感じさせてくれること間違いなしです!

タイトルとシーンが連動しやすい!

スーパースター!!の劇伴音楽には、他の作品と比べ、タイトルを見ただけで「ああ、あのシーンで使われていた楽曲ね!」と連動させやすいものが多いことも特徴として挙げられます。

例えば「Liella!をプロデュース☆」。こんなんあのシーン以外ないだろ、っていう具合に。

この特徴から、スーパースター!!の劇伴音楽はこれまで劇伴に触れてこなかった方でも親しみやすいテイストに仕上がっています。

とにかく盛り上がる「必殺技劇伴」!

劇伴音楽に地味な印象を持っている人も安心。スーパースター!!には、普段から歌詞のない音楽をあまり聴かない人でも楽しく聴けること間違いなしの「必殺技」のような劇伴が多々用意されています。

具体的なタイトルは次からのセクションにてお話させていただきますが、それほど劇伴に詳しくなくても聴いていてテンションが上がるような良曲が揃い踏みです。

まずは、普段使っているプレイリストにお気に入りの劇伴をいくつか入れてみる、という親しみ方もおすすめです。

③クラス別おすすめ劇伴音楽リスト

ここからは個人的に皆さんに聴いてほしい劇伴音楽をリストアップしてまいりたいと思います。

とは言え、劇伴音楽の中でもジャンルやベクトルは様々。流れるシーンで無意識下にオタクが泣いてる必殺技もあれば、それほどのインパクトはないもののシーンのエモさに大きく寄与してくれているような劇伴まで多種多様です。

そこで、劇伴への理解度や関心別に4段階のクラスを設定し、おすすめの劇伴をそれぞれにソートしてお届けしてまいりたいと思います。

 

具体的なクラス分けといたしましては、

まだ全く劇伴の知識はないけどとにかく何か聴いてみたい!という人に向けた入門編

少しでも劇伴の話をできるようになりたい!劇伴の良さを理解したい!という人に向けた初級編

より劇伴の理解を深めたい!劇伴でエモくなりたい!という人に向けた中級編

物語の解釈を劇伴によって深めたい!劇伴から受け取れるメッセージを享受したい!という人に向けた玄人編の4つです。

なお、リストは完全に主観で構成したものであり、「入れたいけど尺の都合で省かざるを得なかった...」というものも少なからず存在します(ほんとは全部聴いてほしい、神なので)

自分の好きな劇伴がリストに入ってない!不本意だ!という方は、ぜひコメントでその劇伴を紹介してくださると嬉しいです!

入門編1:Main Theme of LoveLive! Superstar!!

まず外せないのがこの楽曲。

ラブライブ!シリーズの各作品にはそれぞれ「メインテーマ」としての劇伴音楽が存在しますが、スーパースター!!におけるメインテーマ楽曲がこの「Main Theme of LoveLive! Superstar!!」です。

この楽曲は1st~4thに至るまで、ライブのオープニングソングとして起用されているため、多くの人にとって聴きなじみのある楽曲であることでしょう。

まだ全く劇伴に触れたことがない方は、普段使っているLiella!楽曲のプレイリストの中にこの楽曲だけ入れてみる、なんていうのもおすすめです。

なお、本編においては、1期1話の冒頭シーン、2期9話の東京大会進出決定シーンなど、物語における重要なタイミングで起用されている劇伴音楽となっております。

入門編2:結ばれた想い

劇伴ミリしらでもこの楽曲は知っていると思います。なんせ、ラブライブ!スーパースター!!にはこの楽曲のメロディに歌詞を付け加え、そのまま楽曲に落とし込んだものが存在します。

そう、「瞬きの先へ」です。

そんなラブライブ!スーパースター!!を代表するかのような劇伴がエグい使い方されてないわけないって話なんですよね。覚悟はいいか?オレはできてる。

この楽曲は、恋さんを主としたキャラクター同士の(さらに言えば多くの場合対立に近い関係にあるメンバー同士の)心が結ばれるきっかけとなる出来事がもたらされたタイミングで起用されます。

もっとも印象的な使われ方がされているのは、1期8話「結ばれる想い」

もうタイトルから既にこの劇伴による物語の収束を意識してるじゃんね。もうそういうレベルの楽曲だってことです。負けで。

入門編3:未来へ

個人的に「最強」だと思っている劇伴音楽です。

この楽曲は、2期12話の「未来の音が聴こえる」披露直前シーンで起用されています。

かのんさんおよびLiella!が各々進むべき道を見据え、強い覚悟をもってその「未来へ」歩まんとする力強さがこの楽曲には表現されているように思えます。

ラブライブ!勝戦のファンファーレのような楽曲であり、その壮大さでこの楽曲の右に出る劇伴音楽は存在しないと言い切れましょう。

 

後半になるにつれボルテージが上がっていくのが印象的な楽曲ではありますが、前半の比較的静かな部分も劇伴マニアの間ではよく取沙汰されます。

なぜなら、前半部分は後ほど紹介する「幼い日の思い出」「星の連なり」という二つの楽曲がオマージュされたものとなっているためです。

これまでLiella!が描いてきた軌跡がラブライブ勝戦というステージに結ばれていく奇跡を感じさせてくれるような構成で、初心者から玄人まで楽しめる楽曲となっています。

知るにつれてエモが増幅されていく過程が楽しめるという点でも、劇伴の世界に足を踏み入れたばかりの人にぜひ聞いてほしい1曲です。

初級編1:想いはひとつ

ここからは初級編。最初に紹介させていただくのは1期6話での起用が印象的な「想いはひとつ」です。

タイトル通り、Liella!のメンバー同士(特にかのちぃ)の心が重なってひとつになった場面で起用される劇伴音楽です。この説明の時点で察しのいい方はお気づきでしょうが、この劇伴が流れるようなシーンはだいたいヤバいです。

序盤に盛り上げるポイントがあり、そこでピークを迎えたと思ったらまただんだん音楽が熱を帯びてきて、ちょうど第2ピークがエグいセリフと重なってるみたいな感じです。やりすぎ。

私が劇伴音楽にハマったのは2期放送ちょっと前くらいなんですけど、この楽曲を好きになってから1期6話を観返した時が一番劇伴好きになってよかったって思った瞬間かもしれないです。それくらいには強いです。

なお、1期6話は起用されている劇伴のラインナップが天下一武道会なことで有名です。劇伴あらかた履修できたらとりあえず1期6話を観ましょう、飛ぶので。

初級編2:星の連なり

お待たせしました。ラブライブ!スーパースター!!劇伴界のリーサルウェポンこと、「星の連なり」です。

この楽曲がどれくらいヤバいかというと、バトルアニメやスポーツアニメのクライマックスシーンで流れ始めるオープニングテーマくらいヤバいです。多分この劇伴が流れているシーンで泣いたことないラブライブ!スーパースター!!オタクの方が希少だとすら思います。

具体的な起用シーンを挙げるとすれば、

これとか、

これとか。

な?「それは言い過ぎw」って言ってたオタクたちも話変わったろ?

初級編3:みんなと一緒に

先程お話させていただいた「かのんさんの演奏が劇伴内に取り入れられている」というスーパースター!!劇伴の特徴が現れた楽曲です。

具体的には、2期10話「渋谷に響く歌」でかのんさんが作曲しているシーンからキャンプファイアーのシーンにかけて起用されています。

ラブライブ!スーパースター!!という物語のひとつの到達点のシーンで起用されている劇伴というだけで聴く価値がありますし、スーパースター!!ならではの劇伴音楽の用い方を味わうことができ、シーンと劇伴音楽をつなげて楽しむこともしやすい、そんな素敵な楽曲に仕上がっています。

ラブライブ!スーパースター!!が大好きなあなたに、是非とも聴いてほしい極上の一曲です!

中級編1:新しい私

ここからは中級編。紹介する劇伴のラインナップもややマニアックなものになっていきます。

中級編1曲目は「新しい私」。特に1期序盤での起用が印象的な楽曲です。

ラブライブ!スーパースター!!という作品のひとつのテーマとして、以下のフレーズが挙げられます。

劇伴「新しい私」は、作品のこのテーマを強く反映した一曲であると言えるでしょう。

なお、アニメ3期では3期生の二人がLiella!に加入する展開が予想されますが、この二人のプロフィールを見るにいかにもラブライブ!スーパースター!!アンチみたいな内容ですよね。

この二人がLiella!に加入するにあたって、彼女らの胸中が何らかの形で感化される展開が描かれていくことでしょう。彼女らの「新しい私」に変化していくにあたって、この劇伴が起用されることもありえなくはなさそうです。

 

聴いていただければわかると思うのですが、この劇伴はこれまで紹介してきた劇伴と比べて派手さはなく、ひたすらに切ないメロディが続いていく楽曲となっています。

必殺技のような劇伴ではないものの、起用されるシーンはどれも物語における重要な要素を伴うシーンです。

もし3期にこの劇伴が登場したとして、聴こえてきた瞬間に頭を抱えることができたなら、あなたはもう相当な劇伴ジャンキーであると言えるでしょう。

中級編2:幼い日の思い出

中級編2曲目は「幼い日の思い出」。

「新しい私」同様、切ないメロディを基調とした楽曲ではあるのですが、起用シーンの破壊力と言ったらもう凄まじいことこのうえなし。この劇伴の魅力を理解すること=ラブライブ!スーパースター!!の劇伴の魅力を理解することと言っても過言ではないです(ほんとか?)

この楽曲はキャラクターの幼少期の回想場面で起用される劇伴です。

特に、回想場面で繰り広げられる行動・言動・経験が、そのキャラクターの哲学に大きな影響を与えているようなシーンで流れる印象です。

さらに言えば、この劇伴には、起用された話数の中で回想対象のキャラクターが抱える問題が解決に向かうという特徴もあります。

「シリーズ随一レベルでキャラクターの過去が重い」と言われているスーパースター!!において、この劇伴が起用される場面がどれだけ凄まじいシーンかは想像に容易いでしょう。

また、この劇伴は常に回想場面とセットで起用されているため、この劇伴のメロディが流れ始めることにより、場面が切り替わって回想シーンが始まることを無意識下で視聴者に予期させるといった機能を備えています。

初級編まではシーンの迫力を強調し、物語の説得力を向上させる「必殺技」のような機能を持った劇伴について触れてまいりましたが、縁の下の力持ちとして場面の切り替わりをスムーズにし、視聴者の作品理解に寄与することも劇伴の役割のひとつであり、この楽曲はその類の劇伴の代表例であると言えましょう。

玄人編1:好きだけじゃない

いよいよ玄人編に入ってまいります。その1曲目は「好きだけじゃない」。

この楽曲が初登場したのは1期6話。劇伴の名前の由来は聖澤悠奈さんの以下の台詞であると考えられます。

「本当に好きなだけなのかな?」

この楽曲は、ラブライブ!スーパースター!!の、特にかのんさんの決断にかかわる重要な場面で起用されています。

ライブ直前の重要なシーンにすら起用されていますから、劇伴の分類としては「必殺技」タイプと言えるでしょう。あまり多くを考えずに聴いても、次第に盛り上がっていくそのメロディの荘厳さを楽しめる楽曲です。

どこが玄人向けかというと、起用される各シーンにおいて「なにが”好きだけじゃない”のか」「どこが”好きだけじゃない”のか」に関する考察の難易度です。

ここまでの劇伴を一通り見返すと、ある程度劇伴のタイトルとそのシーンの親和性の高さを感じることができると思います。しかしながら「好きだけじゃない」に関しては、そのタイトルがいささか抽象的であるということもあり、タイトルとシーンの連動についての考察の難易度がはるかに高くなっています。

1期6話以外の起用例を見てまいりましょう。

2期8話「Chance Way」

2期12話「私を叶える物語」

一体かのんさんおよびLiella!の各メンバーは、このシーンのなにに、どこに「好きだけじゃない」と感じているのでしょうか?

これを考えるのがまた楽しいったらならないんですよね。あえてこの劇伴が採用されている以上、きっとそこに意味はあるんだけど、その意味に辿り着くのが近いようで遠いんです。

でも、だからこそそこに思いを馳せる余地があって。自分の中でああでもない、こうでもないと解釈をつくり上げていく時間には何物にも代えがたい至福さがあります。

この問題に正解は定義されていません。是非皆さんもこの劇伴の採用基準について、自分なりの答えを探してみてください。

玄人編2:私を叶える物語

最後に紹介するのは、ラブライブ!スーパースター!!の物語における大テーマの名を冠した劇伴です。

まだ一度も耳にしたことがない方は、早速聴きに行く前にその音楽性がどんなものか一旦想像してみてくださると嬉しいです。

「さぞ力強くて迫力ある劇伴なんだろうな~!」「第二のメインテーマみたいな感じ!」「もしかして2期12話で流れてる”私のSymphony”のアレンジみたいな劇伴がこれかな?」

さあ想像はお済みですか?それでは、一旦記事を離れて聴きにいってみましょう!

 

 

 

...想像通りの劇伴だった方はどれだけいらっしゃったでしょうか。予想を裏切られた方が大半なのではないでしょうか?ちなみに私もそうでした。

劇伴「私を叶える物語」で繰り広げられるのは、一貫してか細くて、弱弱しくて、切なくて。心を締め付けられるような、そんなメロディです。

なぜこの劇伴はそのようなメロディを基調としているのでしょうか。作曲家の方は、どうして作品を代表するテーマの名前を冠した劇伴に、このようなメロディを乗せて我々に届けたのでしょうか。

私は、これが制作陣が考える「私を叶える物語」の本質であるからなのではないかと考えています

「私を叶える物語」は、決してその輝きで誰もの心を揺さぶるような英雄譚ではないのです。むしろその真逆であるとすら定義できるものであると、この劇伴は語ります。

ラブライブ!スーパースター!!は、私たちに「叶える旅の残酷さ」を教えてくれる物語です。

いくら努力しても叶わない夢はある。

どれだけ想いが強かろうと、一度の過ちで、気づけばもう夢への道は閉ざされている。

夢を叶えるためには、自分の”大好き”に背を向けねばならぬときもある。

そんなラブライブ!スーパースター!!によって届けられる劇伴「私を叶える物語」。その切なさは、作中で彼女らが描いた「私を叶える物語」の軌道に大変似つかわしい楽曲となっているように思えます。

劇伴「私を叶える物語」は、ラブライブ!スーパースター!!が我々に伝えんとする物語の哲学を「音」として抽象化し、我々に教えてくれる、そんな楽曲なのではないかと思うのです。

おわりに

ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。

今回はスーパースター!!の劇伴音楽について、自分なりの切り口で解説してまいりました。お気に入りの楽曲は見つかりましたでしょうか?

スーパースター!!には、今回紹介したもの以外にも多くの素敵な劇伴音楽が存在します。これを機に、より多くの方が劇伴音楽に興味を持ってくださったら嬉しいです。

それでは皆さん、良き劇伴ライフを!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここからは新未来

もうすぐ会える震えるぜ!

皆さんこんにちは。きらんです。

Liella! 4th LoveLive! Tour ~brand new Sparkle~の足音がついに明日に迫ってまいりました。いよいよ11人のLiella!を初めて目撃することができる夢の舞台です。皆さん、心の準備はできていますか?

というわけで8/3から続けてまいりました4thライブに向けての毎日記事更新企画「#きらんのbrandnewMusic」は本日で一区切り。いつも見てくださっていた皆さん、本当にありがとうございました。

当企画最後の記事となる今回の記事は、4thへの想いの整理も兼ねて「Jump Into the New World」について綴らせていただきます。

これまでの記事では解釈を中心とした内容をお届けしてまいりましたが、今回は好きな歌詞・共感できる歌詞のピックアップを中心として、明日への機運をつくってまいりたいと思います。

よろしければ、最後までお付き合いよろしくお願いいたします。

「もうカード揃ってんのかも」

ときめくのさ

昨日よりも何かできそうだ

根拠はないけど カ・ン・ジ・ル

勢いだけでぱっと行ける時

もうカード揃ってんのかも

「Jump Into the New World」より

1番Aメロのこの歌詞が好きです。

11人体制での初めての楽曲で歌われる「もうカード揃ってんのかも」というフレーズには、どうしても3学年揃い、最強形態となったLiella!の姿を重ねてしまいます。

このフレーズは、9人体制最初の楽曲である「WE WILL!!」との比較においても見どころがあるように感じています。

「WE WILL!!」では「勢いだけでもいいよね」と、自分自身に言い聞かせ、信じ込むような描写がなされていました。

勢いだけでもいいよね let's jump!

「WE WILL!!」より

対して「Jump Into the New World」では、過去の自分より強くなった自分らの在り方を根拠はなくとも感じ取っており、そのうえでいまであれば「勢いだけでぱっと行ける」ことを「確信」するに至っています。

この一節は、3期生の加入によって精神的に強化されたLiella!の姿をありありと示しているのです。

明日のライブでも、カードが揃ったLiella!が一体どのようなパフォーマンスで我々を魅せてくれるのか期待ですね。

「朝がやってくるよ」

幕が上がるのさ

朝がやってくるよ Are you ready? I'm ready!

「Jump Into the New World」より

サビ冒頭のこの歌詞は、この楽曲の中でも特に印象的なフレーズであるように思います。

「朝がやってくる」ことについてはさまざまな捉え方ができます。

歌詞の文脈のみを読み取って「朝」の意味を考えると「ライブ」と捉えられそうですが、

ラブライブ!スーパースター!!の物語の文脈を鑑みると「朝」は「卒業」「最終章」などの切ない文脈も含んでいるように感じられます。

3期生が加入するということは1期生が3年生、最終学年になるということなのですから。

当たり前のようで忘れがちですが、いまっていましかないんですよね。私は、キャラクターの学年が上がり、新入部員が加入し、体制をめくるめく変えて。いまこの瞬間を全力で楽しむ大切さをなんどでも実感させてくれるから、ラブライブ!スーパースター!!が大好きなのです。

Liella!に「朝」がやってくる瞬間を見ることができるのも、きっと4thライブのこの瞬間しかないんです。だから、いましかないこの夢の舞台を楽しみ切る覚悟を与えてくれるこの楽曲が大切です。

「予定調和壊す煌めきの武器になる」

ラブライブ!スーパースター!!における「予定調和」とはなんでしょうか。

様々な解釈の余地があると思いますが、私はひとつ、以下のものがあると思います。

「知ってる?ラブライブの歴史上、連覇を成し遂げた学校は、ひとつもない」

11人のLiella!が、このジンクスを打ち破り「二度目の奇跡」を起こしてくれることに期待している人も多いのではないかと考えています。

そんな11人の始まりのこの楽曲で、以下のフレーズが歌われています。

今日は予定調和壊す煌めきの武器になる

「Jump Into the New World」より

ますますアニメの3期が楽しみになりますね。言葉選びの素敵さも相まって、大好きな歌詞のひとつです。

「ここからは新未来」

ここからは新未来

「Jump Into the New World」より

ラブライブ!シリーズでは前人未到の3rd Season突入。スーパースター!!では初となるユニットの結成。ようやく完全体となったLiella!。きっとここから、想像もできないような素敵な未来が我々を待っています。

そんな新未来の序章が、ついに明日、幕張にて開幕します。

先の見えない未来に不安はつきもの。でも同時に、今回もきっと大丈夫だって、絶対最高の想い出をつくっていけるって確信しています。

だって、ラブライブ!スーパースター!!を信じて追いかけてきたこの3年間の日々に、後悔なんて少しもないんだもん。

いつだって私が一番欲しいものを届けてくれたラブライブ!スーパースター!!を信じて。明日からの日々も全力で駆け抜けてまいりたいと思うのです。

Liella! 4th LoveLive! Tour ~brand new Sparkle~。伴に全力で楽しんでまいりましょうね!

 

 

 

 

 

 

もうすぐ会える震えるぜ!

何気ないいまの瞬間が最高

毎日記事投稿も残りわずか。

皆さんこんにちは。きらんです。

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4thライブまであと2日。ついに目前に迫った夢の舞台に浮き足立っております。

ライブまでもう間もなくということは、8/3から続けてまいりました毎日記事投稿企画も残りわずかということです。残している楽曲は「A Little Love」「Jump Into the New World」のみとなりました。

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最後まで気を抜かず駆け抜けてまいりますのでよろしくお願いいたします。

さて、本題に入ってまいりましょう。本日紹介させていただく楽曲は「A Little Love」。ユニットミニアルバムにおける5yncri5e!のB面曲です。

ユニットミニアルバムの全ての楽曲の中で私が一番好きな楽曲でもあります。私がこの楽曲に抱いている"A Little Love"を、この記事を通して少しでも皆さんにお伝えできれば幸いです。

A Little…?

皆さんはこの楽曲を初めて受け取ったとき、どのような感情を抱きましたか?

私はこう思いました。

「どこが"A Little"やねん。」

サビでEDM長の音楽を纏いながら放たれる「A Little Love」というフレーズには、あまりに大きな愛が詰まっているように感じられたのです。節子、これA Little Loveやない。クソデカ Loveや。

そこで、5yncri5e!の面々が何をもってこの楽曲に込められた愛が「A Little」であると定義したのかについて思いを馳せていこうと思います。

この楽曲には、次のような歌詞があります。

幼くてもほら

キラキラキラキラ 愛だよ

「A Little Love」より

ここに現れている「幼い」というワードが鍵になってきそうです。

というのも、この楽曲の歌詞を構成するフレーズたちは、スクールアイドルのそれとしてはやや大人な印象を我々に与えてきます。

キラリ空は光り

キミとミントキャンディ

タイミング外したハーモニー

緩めに流すミュージック

「A Little Love」より

エスケープして踊ろうよ

回れフィナーレまで

「A Little Love」より

引用したフレーズなんかは、夜にクラブで踊り明かさんとしているような情景を思い起こさせてきますね。

音も併せて楽曲全体を俯瞰すると「主人公視点での大人の世界」が楽曲全体を通して表現されているかのように思えてきます。

だからこそ「幼い」というフレーズが光ると思うのです。この世界において私はまだ幼い。そんな私の「Love」だけど、そのありったけをあげるから、絶対にさせないから、私と一緒にいてほしい。そんな強い想いが込められているように感じられます。

明日世界が終わっても後悔

しない させないよ

「A Little Love」より

ここまでの内容を踏まえて解釈するに、"A Little"を「幼さ」を形容する表現として捉える事ができそうです。

不可能を可能に進化させる「キモチ」

この楽曲では「大人の世界」に飛び込んだ主人公の姿が描かれているという話をしてまいりました。はたして、主人公は順応していけたのでしょうか?

カンペキだね そうでしょ

何もかも揃ってるでしょ

無意識でも重なる

キミのスピードにも

「A Little Love」より

答えは引用したフレーズに記されていました。

カンペキらしい。すごいね(小並感)

注目したいのは「無意識でも重なる キミのスピードにも」という一節。主人公が「大人の世界」に順応していけたのは「大人の世界」の住人であろう「キミ」のスピードに重なって踊ることができたから、と解釈できそうです。

それでは、なぜ「キミ」のスピードに重なることができたのでしょう。

議論の余地がありますが、私はこれを主人公が抱える「キミ」への愛ゆえの出来事であると捉えています。

主人公は「無意識」に、他の誰でもない「キミ」のスピードに重なったのです。そこに愛がある何よりの証です。

さらに根拠を示すのであれば、以下のフレーズが挙げられるでしょう。

キモチが不可能 可能にするの

だんだん知ったんだ

「A Little Love」より

直後にこのフレーズが来ていることを鑑みると、本来は不可能であった「大人の世界」への順応を愛が可能にした、と理解できそうです。

 

さて、この楽曲では主人公の不可能を可能にする「キモチ」として愛を描いていると考えられますが、その他の場合においても不可能を可能にするのはいつだって「キモチ」であると思うのです。

 

あなたにはいま「自分には不相応だ・不可能だ」って思っていることはありますか?

自分がやりたいことに繋がっているものがより望ましいです。

 

何か思いつきましたか。

それでは、それについてもう一つ質問させていただきます。

 

あなたはそれに向けてこれまで何か努力をしたことがありますか?

 

あなたに限らず多くの人はその努力をほとんどしていない・全くしていないのではないかと思うんです。

いつだって、自分には関係ない遠い世界の話だと思い込んで、「不可能」って単語を隠れ蓑にそれから目を背けているのです。

そうじゃないじゃん。

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いいですの?向いてないことをいくら頑張ったって、ダメなものはダメですの。でも、やってもないのに、向いてないかどうかなんて分からないでしょ?

時間的な制限があったり、ファンタジーすぎたりしたら話は別ですが、多くの物事に「不可能」はありません。

「不可能」であると判断するか「可能」であるかの判断は、大抵の場合主観的な意見でしかないのです。

だから、いつだって「キモチ」は「不可能」を「可能」に変えるパワーがあるんです。

夏美さんからそんな哲学を受け取ったきな子さんがこのパートを歌っているのがアツすぎますね。なんならきななつのどちらも5yncri5e!に揃ってるの最高すぎる。

ラブライブ!離れした雰囲気を醸しつつも、ここぞと言うところでパンチラインを叩き込んでくる5yncri5e!の楽曲が大好きです。

何気ないいまの瞬間が最高

ループしてはまたループ

(Hello sunrise)

同じに見えてスペシャ

偶然に言葉がハモるたび

涙出るほど笑い合うたび

溢れてくる 幼くてもほら

キラキラキラキラ 愛だよ

「A Little Love」より

私がこの楽曲で一番好きなフレーズです。

我々が何気ない日だったと振り返るような日々には、本当は何気ないの一言で片付けるのはもったいないくらいの"素敵"が詰め込まれています。

全部全部「いましか見れない宝物」なのです。「同じに見えてスペシャル」なのです。

そんなたわいもない日常にも愛がある、たわいもない日常にこそキラキラ輝く愛があるとこの楽曲は歌います。

Liella!のライブが楽しみで仕方ないのは、Liella!に会えない日常で愛を積み重ねてきたからなんですよね。

このフレーズは、ラブライブ!の「いまが最高」の哲学をさらに日常単位まで掘り下げて我々に届けてくれているのです。

 

私がラブライブ!にこれほどまでに心を奪われた根源は「"やってみたい"の肯定」「いまが最高」というふたつの学びにあります。

そんな哲学の両方を詰め込んだ、ラブライブ!じゃないようでこの上なくラブライブ!な楽曲「A Little Love」が、私は最高に大好きです。

コセイ×ヒョウゲン=Dancing Raspberry

毎日記事更新開始から2Week!

皆さんこんにちは。きらんです。

毎日記事更新企画も開始から14日、2週間の節目を迎えました。こういう切りのいいタイミングにはやはりなかなかの達成感がありますね。

また、本日で4thライブまで3日。皆さんもいよいよ夢の舞台に向けての機運が高まっている頃合いであると存じます。

そんなライブ直前のボルテージの高鳴りを皆さんと共有したい想いから、僭越ながら現在リレー型カウントダウン企画「#はじける高鳴り何度でも」の方を実施させていただいております。

昨日は3期生代表としてそなさん(@sonatheater)がツイートをしてくださりました。本日の担当はCatChu!担当たいやきさん(@ganbaruby)です。

ライブ前の楽しみの増幅のひとつの方法としてこの企画を活用していただけると主催者冥利に尽きます。

さて、毎日記事更新企画の方に話題を戻しましょう。本日取り上げる楽曲は「Dancing Raspberry」。ユニットミニアルバムにおける5yncri5e!のA面曲です。

メンバー的にも楽曲的にも、現時点で最も好きなユニットが5yncri5e!なのでこの記事が書ける今日を心待ちにしていました。よろしくお願いいたします。

5yncri5e!って?

5yncri5e!は、千砂都さん、きな子さん、四季さん、夏美さん、冬毬さんの五人によって構成されるユニットです。ラブライブ!シリーズ史上初の五人組ユニットであり、そのダンスパフォーマンスが持ち味だそうです。

現在の彼女らの持ち曲は2023年8月現在「Dancing Raspberry」と「A Little Love」の2曲。

この二つの楽曲を聴いた個人的な感想としては、このユニットの楽曲のテーマは個性の尊重

CatChu!やKALEIDOSCOREと違い、このユニットには全員に共通する特徴があるようには見えません。それどころか、全員が別ベクトルの強すぎる個性を持っているようにすら感じられます。

だからこそ、このユニットの楽曲では自他の個性を愛する大切さ・素敵さを力強く歌い上げます。一見個性のケンカが起きているように見えるメンバー構成ですが、楽曲のメッセージを受け取るに、実は最も調和がとれているユニットとすら言えそうです。

5yncri5e!を一言で表すなら、「個性派ユニット」というよりは「多様性ユニット」というのが適切であると言えましょう。

「自分」讃歌としてのDancing Raspberry

「自分」を愛し、「所謂なルール」に縛られずにその個性を出していくこと。それが、この楽曲の最も伝えたいメッセージのひとつであると私は思います。

「ブレない」って言葉にもう

縛られたくない

所謂なルールは

どうでもいいや

「Dancing Raspberry」より

「所謂なルール」という言葉は「社会・学校における規律」とでもいうべきでしょうか。出る杭が打たれて均一化され、個性の芽が摘んでいかれるような環境をこの楽曲では真っ向から否定します。

ぼくはぼくのもん 誰かのもんじゃない

「Dancing Raspberry」より

このフレーズにも以上のメッセージが強く現れているように感じています。自分の行動の決定権は自分にあるという5yncri5e!ならではの哲学が楽曲全体を通じて表現されています。

"Raspberry"とは

私はこの楽曲における「Raspberry」ないしは「果実」という単語を個性・大好きといった単語の比喩として利用されているものであると解釈しています。

ここまで語ってきたように、この楽曲の大きなメッセージとして「自分の行動の決定権は自分にある」というものがあるように思われますが、そんな「自分の行動」の指針を大きく決定づける要素として「Raspberry」「果実」があるわけです。

キミはどんな人なの?

どんなことに興味あんの?

一言では言えない当たり前

色々ある大好きを実らせてから

一緒に食べ合いたい

「Dancing Raspberry」より

上記のフレーズではまさに「大好き」が「果実」であるかのように表現されています。「大好き」を「実らせてから一緒に食べ」るとは、お互いの「大好き」を共有し分かり合うことを指していると考えられそうです。

キミの果実をもっと見せて

「Dancing Raspberry」より

こちらはもっと暗喩的ですが、同様の内容が指示されていると思えるフレーズです。

「果実」は一般的に果物で最も美味に食される部分ですが、萌芽からその果実が実るまでは時間を要しますし、そこまで枯れないようなケアも得てして必要なものです。

人の持つ個性的な性質や大好きもまた似たようなもので、その人の根本を形作るデリケートな部分ですから、ある程度関係が熟した相手以外に詳らかにひけらかしたりはしないものでしょう。

このような点を鑑みても、個性・大好きと「果実」はその性格が類似しており、ひとつ仮説を補強する根拠となりそうです。

"Dancing"とは

私はこの楽曲でにおける「Dancing」ないしは「踊る」という単語を自己表現・自己実現という意味合いで捉えています。

Dancing 感じる Raspberry LOVE!!

「Dancing Raspberry」より

このフレーズでは「Dancing」によって「Raspberry LOVE(=個性愛)」を感じることができるということが示唆されています。

世界中がキミを見てる

自由に踊れ

勘違いだっていいんだ

「Dancing Raspberry」より

また、このフレーズでは「キミ」が世界中の視線を浴びながら踊っているという背景情報が描かれています。

他者の前で自由に「踊」り、その姿を見て湧くフロアの情景が以上の二つのフレーズから思い浮かべられますね。

私は、自身への愛・個性愛を最も実感できる瞬間は、その個性を表現して周りに認められた瞬間であるように思っています。

どれだけ自分の在り方に自信がなくたって、そのありのままを肯定してくれる場所はきっとあると思うのです。例えば、スクールアイドル

自分の可愛さに自信がなかった四季は、メイと伴に一歩を踏み出し大きく人生を変えました。

千砂都が自分の弱さを克服すべく始めたダンスは、Liella!の最強の武器になっていきました。

運動が苦手なきな子が勇気を出してとった行動やセリフは、Liella!の面々の精神に大きな正の影響をもたらしました。

このように自分の弱さを乗りこえてスクールアイドルを始めた5yncri5e!のメンバーたちが「Dancing Raspberry」では相手の個性を肯定する側に立っている。「自分ってサイコー!」って言っている。こんなに素敵なことがありますでしょうか。

自分ってサイコー!

「Dancing Raspberry」より

いいえ、ありません(反語)

 

 

 

結論:5yncri5e!音も歌詞もよすぎ