きらんのShooting Voice!!

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辛い、苦しい、それでも「君」を想う

毎日記事更新10日目!

こんにちは。きらんです。

本日で毎日記事更新も10日目。ついに二桁の大台に乗り、本日からユニットミニアルバムのコーナーへ突入します。

ユニットミニアルバムの楽曲は公演でピックアップされるユニットの順番準拠にするか、アルバムのプレイリスト準拠にするかで迷っていたのですが、4thライブ前の企画ということを踏まえて前者を取ることにしました。

スケジュールは以下の通りです。

それでは早速本題に入ってまいりましょう。本日紹介させていただく楽曲は「ベロア」。ユニットミニアルバムにおける、KALEIDOSCOREのA面曲です。

KALEIDOSCOREって?

KALEIDOSCOREは、可可さん・恋さん・マルガレーテさんの三人によって構成される、クールで国際色豊かなユニットです。

現在の彼女らの持ち曲は2023年8月現在「ベロア」と「不可視なブルー」の2曲。

この二つの楽曲を聴いた個人的な感想としては、このユニットの楽曲のテーマは、楽曲に登場する「君」との相互関係における「葛藤」や「諦観」。いますぐにでも想いを伝えたいけど伝えられない、ないしは伝えたくない、そんな切ない気持ちが楽曲に共通する要素となっています。

そんな「葛藤」や「諦観」は、このユニットを構成するメンバーのスクールアイドルとの向き合い方に共通する特徴となっているようにも感じています。どのメンバーも、自分の最も大切なものを護るために自分にとって大切な何かを犠牲にする、そんな精神を持ち合わせているように思うのです。

 

例えば可可さんは、2期の物語において、彼女が夢見たスクールアイドルの姿、みんなで楽しく活動に参加していく姿を護るため、ラブライブで優勝できなかったら上海に帰国しなければならないといった事情をひた隠し、ある意味で自分自身が日本に残ってスクールアイドルを続けていくことを諦める方針で自分自身の意見を発信していきます。

できません...。可可はみんなと楽しく歌っていたいのです。それが可可が夢見たスクールアイドルなのです。

ラブライブ!スーパースター!!2期9話「勝利のために」より

恋さんはかつて、母から託された結ヶ丘を未来永劫続く素敵な学校にしていきたいとの思いから、生徒の反感を買う覚悟で公約を破り、学園祭を音楽科中心で執り行おうとします。

わたくしはこの結ヶ丘女子を、地域に根差し、途切れることなく続いていく学校にするために、誠心誠意努力する所存です。そのために...最初の学園祭は、音楽科をメインに行うことと決定しました。

ラブライブ!スーパースター!!1期7話「決戦!生徒会長選」より

マルガレーテさんについては、まだ作中にて掘り下げが多くはなく、確かなことは言い切れませんが、自分の夢であるウィーン国立音楽学校への入学のために、自分のその他の全てを投げうってスクールアイドル活動に専念したことが言葉の節々から感じて取れます。

今この願い叶えてみせる

涙だって情熱に代えて

「エーデルシュタイン」より

彼女らに共通するこのような背景によって織りなされた哲学が、KALEIDOSCOREの楽曲たちには強く反映されているように思います。

「追いかける」ことへの葛藤・諦観

これ以上は追い掛けない

何回言い聞かせてみても

余計に会いたくなるだけ

恋すれば空も飛べるなら

羽根をください

もっと好きになるから

「ベロア」より

ここまで語ってきた「葛藤」「諦観」の哲学が、「ベロア」という楽曲については「恋」というテーマで語られています。

私はこの楽曲の歌詞を読んで、「君」に対する健気で温かな失恋をテーマとして描いているように感じられました。

「ベロア」の主人公は「君」との失恋に対して「これ以上は追いかけない」という態度で向き合おうとしていますが、その言葉を繰り返せば繰り返すほどに本心では「余計に会いたくなる」ことを吐露しています。

この楽曲では「恋」というテーマを取り扱っているために、そこに介在する感情は難解であるように感じられてしまいます。ですが、ここで語られている内容の心理的フロー自体は、KALEIDOSCOREの3人がこれまで諦めてきた物事の対するそれと概ね合致しているものであるとは考えられないでしょうか。

ここはひとつ、可可さんのスクールアイドルとの向き合い方の事例を「ベロア」に当てはめてその心境を読み解いていきましょう。

 

可可さんは「みんなと楽しく歌っていたい」という夢を護るために「自分が日本に残ってスクールアイドルを続けること」を諦めようとしました。

もちろん可可さんにとって重要なのは前者であるのですが、後者もきっと可可さんにとって本当に本当に大切なことなんですよね。2択を迫られたから仕方なく諦めようとしているだけで、彼女にとって上海に戻ることがどれだけ辛く苦しいものなのかは想像に容易いのではないでしょうか。

テーマは異なれど、きっと「ベロア」で語られる内容も同様の心理的フローを辿っているんですよね。

「これ以上は追いかけない」ことの方が重要であると理性が判断したからそちらを取ることにしたものの、「あなたとよりを戻したい」という感情もまた大切で大切で仕方ないもののはずです。

そこでの葛藤がこの歌詞で美しく表現されているわけですね。

 

「羽根」という言葉の解釈は大変難しいですが、私は上記を踏まえて「トレード・オフである二つの感情を両方同時に解決する手段」なのではないかと考えました。

「ベロア」においては「あなたと一定の距離感を保ちつつも、気兼ねなく触れ合える、関わり合える仲」といったところでしょうか。

辛い、苦しい、それでも「君」を想う

これまで語ってきたように、私はKALEIDOSCOREがこの楽曲に込めている想いは「葛藤」や「諦観」なのではないかと考えています。

それでは、こんな思いを抱くきっかけをつくり出した「君」に対する彼女らの感情はどのようなものなのでしょうか。答えは、以下の歌詞に示されているように思います。

ずっと想っていくのと

諦めるのはどっちが辛い?

分からないけど

今優しく吹く風

君に 君に届けたい

「ベロア」より

この歌詞では、「君」によってもたらされた「葛藤」に苛まれる最中でも「君」に優しく吹く風を届けたいと願ってしまう主人公の気持ちが描かれています。

前項と同様、「ベロア」にKALEIDOSCOREの各メンバーの在り方を当てはめ、それぞれにとっての「君」が誰なのかを考えてみると、この想いがより理解/共感できるのではないかと思います。

ここまでの内容を踏まえると、「ベロア」の文脈における「君」とは「主人公のそれに対する想いの強さゆえに彼女(彼)に葛藤や諦観を抱かせる原因となった存在」です。

これは、可可さんにとっては「スクールアイドル」、恋さんにとっては「お母さん」、マルガレーテさんにとっては「夢」であると定義できます。これらの存在に対し、彼女らが怒りをぶつけることなんて考え難いですね。

きっと主人公にとって「君」が「葛藤」や「諦観」をもたらすのは、それだけ「君」を大切に思っているからなんですよね。だから主人公は、どれだけ「葛藤」や「諦観」に苦しめられたとしても「君」を恨むことはない。それ以上に「君」がもたらしてくれたものが大きすぎて、恨むことなどはできないのです。